新刊めったくたガイド
1978年6月発行の第9号からスタートした「本の雑誌」の看板コーナーが、WEB本の雑誌に登場!
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2021年6月号掲載 書評担当者:北上次郎
一穂ミチの絶品短編集『スモールワールズ』が素晴らしい
一穂ミチ『スモールワールズ』(講談社)が素晴らしい。 たとえば、美和と貴史がまだ結婚する前、デートの帰りに電車が停まったときのことを、美和が思い出すくだりがある。非常灯の明かりしかない中で一時間、...記事を見る »
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2021年6月号掲載 書評担当者:冬木糸一
能力主義信仰を問い直す『実力も運のうち』
イギリスがEUから離脱し、米大統領選ではバイデンとトランプが接戦を繰り広げる昨今、政治や社会をめぐる状況で分断が一つのキーワードになっている。『これからの「正義」の話をしよう』のマイケル・サンデル最...記事を見る »
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2021年6月号掲載 書評担当者:高頭佐和子
辛酸なめ子『電車のおじさん』に取り込まれる!
辛酸なめ子『電車のおじさん』(小学館)は、不思議な小説だ。笑いながら読んでいるうちに、気がつくと主人公の世界観に取り込まれている。 文具メーカーに勤める玉恵は、混雑する総武線で迷惑行為をするおじさ...記事を見る »
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2021年6月号掲載 書評担当者:古山裕樹
辻真先版少年探偵団『二十面相 暁に死す』が楽しい!
辻真先の『焼跡の二十面相』は、江戸川乱歩の少年探偵団シリーズのパスティーシュとして、いかにも原典にありそうな展開を堪能できる。また、「敗戦」を「終戦」と言い換える大人たちに小林少年が抱く違和感などの...記事を見る »
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2021年6月号掲載 書評担当者:大森望
圧倒的に素晴らしい作品集『過ぎにし夏、マーズ・ヒルで』
早くも今年のベスト候補が現れた。エリザベス・ハンド『過ぎにし夏、マーズ・ヒルで』(市田泉訳/創元海外SF叢書)★★★★½は、(ノベライズを除き)著者27年ぶりの邦訳書。世界幻想文学大賞受賞に輝く初訳...記事を見る »
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2021年6月号掲載 書評担当者:藤ふくろう
終末世界を旅する二冊のパンデミック文学
疫病が広がる終末世界で、生存者が旅するパンデミック文学が2冊、刊行された。1冊は、中国系アメリカ人リン・マーの『断絶』(藤井光訳/白水社)。中国深圳で発生した未知の病気「シェン熱」が世界を襲う。ニュ...記事を見る »
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2021年6月号掲載 書評担当者:吉野仁
『オクトーバー・リスト』の"つかみ"に興奮!
『ベストセラー小説の書き方』でディーン・R・クーンツは「最初の三ページが勝負だ」と記していた。いまや冒頭から派手な山場をもっていく手法はめずらしいものではない。のっけから読者の心をつかめ。それでいえば...記事を見る »